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職業もスタイルも多様に。でも一緒に。

前回のコラム「シェアハウスって『今』どうなの?」では、シェアハウスの平均年齢が28.2歳であることをお伝えしました。シェアハウスは若者向けの住まいというイメージが強いと思いますが、時代が変わっても20代・30代が主な居住者である点は興味深いですよね。

今回は、その入居者の属性をさらに深掘りし、どんな人たちがシェアハウスに住むのかを見ていきたいと思います。

「若い人たちが一緒に暮らす」と聞くと、なんとなく「ゲストハウス」や「旅人気質」、あるいは「その日暮らし」といったイメージを抱く方もいるかもしれません。

でも、SNSの投稿や私たちが取材を通して感じるのは、一般的な職業に就いている方々が多いということ。実際は、どんな職業の人たちがシェアハウスに住んでいるのか、気になりますよね。

そこで今回は、シェアハウスに住む人々の職業形態や職種について詳しく見ていきたいと思います。

働き方は広く、自由に。

まず、シェアハウスに住んでいる方々の職業形態を見ていきましょう。(前回同様、私たちが運営する「東京シェアハウス」と「全国版(sharehouse.in)」の今年1月から8月のデータをもとに統計を取っています。)

ユーザー属性(就業形態)

 

日本の方々に限定して職業形態を見てみると、最も多かったのが「正社員(35.4%)」という結果でした。

「若い人はすぐ辞める」「仕事をしない」といったニュースが目立つこともありますが、実際には3分の1以上が正社員で、全体の7割以上が何らかの形で働いていることがわかります。都市部では、一人暮らしよりもシェアハウスの方がコストを抑えられる上、他の住人とのネットワーキングもできるという理由で、シェアを選ぶ方も多そうです。

 次に多かったのは、「大学生、大学院生、その他学生(19.2%)」。

シェアハウスのコミュニティにも属しながら、交流の輪を広げ、友人関係や将来的なつながりを築ける事は大きな魅力だと思います。特に今は、AIの進化もあり、机に向かって勉強するより、リアルな意見や役立つスキルを吸収することも重要なはず。人生の先輩と一緒に過ごすことも、意外と大きな学びや発見につながっている気もします。

さらに、コロナの影響で学校生活を十分に楽しめなかった方も多いことから、会社以外の場所で自発的にコミュニケーションを取る学生や新社会人も増えているように感じます。

以降は、「個人事業主・フリーランス(11.7%)やパート・アルバイト(11.7%)、契約社員(10.0%)」と続きました。

シェアハウスのリビングで「時間や場所に縛られずに仕事ができるので」と答えてくれた方々にお会いしたこともあります。自分を軸に生計を立てようとする若い人達も増えていそうです。数値では捉えきれない部分ですが、会社勤めをしつつ、副業もしている人も少なくないそう。

さらに、1.6%と少数ではありますが、経営者や会社役員の方も利用しています。職場以外での交流や、金銭以外の価値を重視しているように感じますが、具体的にどのような点がシェアハウスのスタイルに響いているのか、とても興味深いですね。

  

職種別:シェアハウスに住む日本人の職業分布

 次に、日本人の就業者の職種を見てみましょう。職種の選択は40種以上あるので、上位12種をランキング形式で表示したいと思います。

ユーザー属性(日本人:職種)

 

 1位は「通信・IT・ソフト開発」でした。リモートワークの普及もあり、時間や場所に制約されない働き方をする人にとって、シェアハウスは理想的な住まいに近い環境なのかもしれません。

集中するスペースの確保は必須ですが、それ以外にはONとOFFの切り替えがしやすかったり、共用スペースでの交流から、仕事のヒントを得ることができたりするので、部屋を出ればリアルなコミュニケーションが保てるのは、大きなメリットですよね。

続いて、2位:飲食・レストラン業界、3位:医療・介護・福祉と続きました。

過去のデータでも、こうした業界の方々は多く利用されていたので、その背景には、家賃を抑えつつも、職場まで通勤が便利なことの重要性が高いのかと。(夜遅くまで勤務することもあると思うので)、自転車通勤や徒歩圏内にある利便性の高い立地を選んでいる方も多いように思います。

サービス業に従事される方は、「人が好き」という方も多いと思いますし、人の温かみのある場所というのが魅力的に映るのかもしれませんね。

以降は「デザイン・クリエイティブ」「エンターテイメント・イベント」「マスコミ、広告、出版」といった職種が続きました。

スマホから流れるニュースより、リアルなコミュニケーションの方が、知られざるトレンドに触れることができたり、知りたかったトレンドに触れることもできそうですし、「人とつながる」価値が仕事に活かせる職業の人は、シェアハウスを選択する傾向が高いといえそうです。 

シェアハウスに住む海外の方の職種、専攻、関心分野は?

次に、外国人ユーザーのランキングを見てみましょう。(こちらは、海外留学生などの「専攻や関心分野」も含めたランキングとなっていますので、予めご了承ください。)

ユーザー属性(職種:外国人)

 

1位は「通信・IT・ソフト開発」でした。やはり日本・海外問わず、時間や場所に制約されない働き方をする人にとって、シェアハウスのニーズは高いはず。国を渡り、現地に友人が直ぐできるのは代えがたい価値がありますし、縛られない生活を理想とし、ノマド的に各国を渡り歩きながら、シェアハウスを利用しているという人もいるそうです。

シリコンバレーなどでは、1軒家を借りて一緒に暮らしながら、サービスを開発するケースも多いと伺います。みんなで何かを「創る x 住まい」というスタイルには、高いニーズと可能性を感じますね。

2位の「教育関連」が入るのは、英会話や語学の先生の存在が大きそうです。朝起きてリビングにいくと、英会話の先生と会話をするなど、言語を学びたい人には嬉しい環境ではないでしょうか。(先生側は大変かもしれませんが、)住まいとサービスが融合した新しいスタイルも、大きな可能性がありそうですよね。

3位に「デザイン・クリエイティブ」、4位に「メディア・広告・出版」、5位に「飲食・レストラン関連」と続きました。

ランキングを眺めていて興味深いのは、日本の職種ランキングと似ているということ。ブライダル、旅行、ホスピタリティ関連、金融やヘルスケアといった職種も見受けられる中で、職種によってシェアや共生というスタイルを好む傾向が見られるのは、とても興味深いことだと感じました。

 

 

いかがだったでしょうか? 職業だけで人を判断することはできませんが、どんな仕事をしていて、どんなことに興味があるのか全体像が分かると、意外な発見があった人もいるのではないでしょうか。

異なる職種やバックグラウンドを持つ人たちが集い、普段とは違う話題で盛り上がるだけで楽しそうですし、知らない世界を見ている方と交流すると、今まで考えていなかったことに興味を持ったり、道が開けることだってありそうです。

新しい計画に対するアドバイスをもらったり、全く違う視点からフィードバックを得ることだって、貴重な体験になるはず。特に国際色豊かな場所での会話は、今までにないアイデアがどんどん生まれそうな予感もします。

世の中色んな職種がありますが、自分の半径5メートルくらいの幸せは、自分自身で創っていくのが、本当の仕事なのかもしれません。

という訳で、今回は「職業別に見るシェアハウスの住人の人々」でした。次回のコラムでは、入居者の皆さんをもっと違った角度から紹介していきますので、お楽しみに!

/Author: Moriyama

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