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20200530_Kansensho 

『新型コロナウィルスの影響を受け、シェアハウスでの暮らしはどう変わった?』

非常事態宣言は解除されましたが、まだまだ第二波の懸念もある「新型コロナウイルス」。

今回の出来事は、これからも私たちの暮らしそのものに、大きな影響を与えていくと言っても大げさではないはず。

特に複数人での共同生活となるシェアハウス。みんなで暮らすライフスタイルは興味があっても、誰かと住むことに不安やリスクを感じてしまう人も多いと思います。

そこで今回は、新型コロナウィルスの影響によって、住人の皆さんの生活にどんな変化があったのか、またシェアハウスの暮らしを管理されている運営者さんはどんな対応をしているのか、株式会社FOR.C(フォー.シー)の高野さんに、現状などお話を伺って参りました。

 

緊急事態宣言で変わった受け入れの形

現在は飲食店をはじめ、私たちが当たり前に利用していた場所が相次いで休業していました。今は段階的に緩和される方向に進んでいますが、前のような”通常運行”に戻るのは少し時間がかかりそう。

 「緊急事態宣言の期間中ですが、シェアハウスに住むことはできますか?」

そんな切実な質問を投げかけると「今でも新規の受け入れは実施している」との回答が。

ただし、入居をするまでにはかなり厳しい予防対策を取られていたようです。海外から入国した方には入国日から2週間の待期経過後、(その際パスポートの入国スタンプの提示が必須)体調に異常がないことが確認できてからの入居をお願いしているそう。具体的にはWeb内覧から入居前日までの体調ヒアリングと併せて原則3回体温を測ってもらっています。(申し込み審査、入居前日、入居当日)

万が一37.5度以上の体温だった場合は入居は延期となります。対面での案内時にはスタッフ、入居者の両方にマスク着用を義務付けるなど、細かいところまで感染予防は徹底されているそうです。

受け入れ体制での力を入れ始じめたのは、オンライン内覧や電子書類での案内サービス。外出ができなくても、Webを通して、住まい探しをお手伝いしているとのこと。時代に合わせて住まいの探し方、契約の仕方など、業界のカタチの変化も感じます。

オンライン内覧をする際は実際の個室、共有スペースの様子を見るだけでなく、できればハウスルールや入居者の雰囲気を聞きながら、運営者さんとコミュニケーションを密にとることで、実際に住むイメージがきっと膨らむはず。運営者さんが現地に訪問する必要を考えると、内覧希望日の1~2週間前をイメージしながら、候補日を複数提案すると、スムーズに進みそうです。 

普及が進むオンラインサービス

            
最近ではVR内覧や動画サービスも増えてきています。オンラインで全ての手続きを出来ると便利ですよね。 (画像提供:株式会社FOR.C様)

もしも感染者が出てしまったら?

暮らしをする上で最も怖いのが、居住者同士のハウス内感染。シェアハウスでは一人の感染がそのままクラスター発生にも繋がるというリスクと常に隣り合わせ。自粛期間が解除された今こそ、改めて気をつけたいところ。

FOR.Cさんのお話を伺っていると、これまで以上に「ほうれんそう(報告、連絡、相談)」を大事にしているとのこと。本人から体調不良の報告を受けることもあれば、他の入居者から「あの人の体調がよくないみたいで。」と報告があることも。入居者さんの体調状態を詳しく確認。「コロナ差別」も社会的な問題になっていることもあり、運営者様の対応もかなり慎重になられている様子です。

運営者の立場からは、入居者の行動について方針を伝えて「お願い」することはできても、強制や制限までは出来ないのが正直なところ。入居者ひとりひとりの判断と行動が感染を最小限に抑える鍵になっているんだ、そう感じました。

 

 

 シェアハウス生活〜感染予防編〜

シェアハウスの場合、入居者同士の過度な接触を最も注意されているとのこと。特に「共有スペースの衛生管理」と「入居者の予防意識の向上」には力を入れられているとのこと。共有スペースには常に消毒液を設置して、こまめな換気、手洗いうがい、一つのお皿から料理を取り分けない、食器は個々で使う、リモートワークは自室で行う,などの呼びかけをしているそうです。

またハウスルールとは別に2日に1回はコロナ対策の注意喚起メールを送るなど、「やりすぎと思うくらい対策をしないと感染を防ぐことは出来ない」と危機感を持ちながら対応しているそうです。

咳などの飛沫感染のほか、ドアノブや手すりに接触しただけでも感染する恐れのある新型コロナウイルス。ゲスト訪問も禁止するなど、シェアハウスに限らず、最大限の予防を実践している様子が見受けられました。

感染を防ぐ秘密兵器

コロナ以前より導入している「高濃度オゾン発生器」

除菌はもちろん体臭など臭いも消してくれる優れもの。

緊急事態宣言下では、共有部の利用にも新たなルール。

 

我慢だけじゃない、有意義な自粛生活を

そうは言ってもただ「〇〇してください」と一方的に言われ続けるだけでは、なかなかモチベーションは高まらないもの。さらに、長引く自粛生活に疲れやストレスを感じている人もきっと多いはず。

「自粛=我慢」というイメージは強いですし、人との交流が出来ないのは寂しいですよね。そんな退屈な自粛生活を少しでも明るくするため、さまざまな企画を実施されていました。

 

①身近なもので感染予防グッズを作ってみる

FOR.Cさんでは、スプレーボトルの提供を入居者の方に呼びかけているそう。集まったものは消毒液を入れる容器として各ハウスに送られます。

マスクなどの医療品が不足する中で、普段何気なく捨ててしまっている物を予防グッズに生まれ変わらせる。実家からわざわざ送ってきてくれる方もいるそうです。まさに助け合いの精神ですね。 

ハンカチや布を使ったおしゃれな手作りマスクのつくり方も動画で案内しています。予防はもちろん気軽にDIYを楽しむにはいい機会かもしれません。

 

ハウス内の予防対策
自家製の消毒液。次亜塩素酸パウダーを用途に合わせて縮尺した消毒液 共有スペースには感染予防に役立つガイドブックを設置。もしもの時の相談窓口など、さまざまな情報を掲載しているそう。

 

②掃除をすることで部屋も心もスッキリ

外出自粛要請が出されてから始まった取り組みが、掃除補助のアルバイト募集。在宅ワークの増加などでハウスにいる時間が増えたことを受けて発案されたそうです。

 応募してくれた人には共有スペースの清掃をしてもらう代わりにその費用をお支払い。その額は2時間5,000円。いわば家でアルバイトができるというわけです。さらにいざ掃除をするとハウスメートの共有スペースの使い方やどこが汚れやすいかなど衛生面への関心が自然と高まるそう。入居者が主体的に感染予防に努めるきっかけになったんだとか。

実際この反響はかなりあるようで、持ち回り制にして掃除をされていたハウスもあるそうです。収入の足しになるだけでなく、予防意識も高まる。まさに一石二鳥の取り組みです。こうした時期に入居者さんと運営者さんが一緒になって、取り組まれるのは素晴らしいですね。

普段忙しい日常を送っていると、自分の身の回りのことに意外と目が行き届かなくなり、整理整頓もついつい後回しにしてしまいがちに。これを機に部屋を綺麗にすることで、自分自身の心もリフレッシュにつなげていけると良いですよね。

 

取材協力:株式会社FOR.C 様
「安全」「清潔」「高品質低価格」の提供をポリシーとして運営
運営物件:40棟、入居者数:610部屋、最大世帯数はひとハウス44人(2020.4現在)
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新型コロナウイルスに対して、さまざまな対策をしているとはいえ「ここまでしても当然、感染リスクはゼロにはならない」と運営者であるFOR.Cさんからの言葉。

一歩間違えれば、集団感染が起きてしまう共同生活では「すでに自分が感染しているという意識」を持って行動することが欠かせません。緊急事態宣言が解除されても、当面の間、そうした意識を皆さんで共有することは本当に大切になってくるはず。

こんな時だからこそ、入居者同士の「見えない繋がり」の大切さや、みんなで暮らすライフスタイルは、こうした運営者さんの行動や支えがあって成り立っていると感じた取材となりました。

海外では徐々に平穏な日常を取り戻しつつある地域もある様子。安心、安全でな暮らしを保ちながら、これからも、みんなで楽しい食卓が囲める日が続く未来につながって欲しいですね。

 Writer: Kazuki 

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