事業者インタビュー:姫野 泰尚(合同会社シェアライフ富山)
Category: インタビュー合同会社シェアライフ富山 代表 姫野 泰尚。富山市出身。仕事の不動産業と兼業し、自らシェアハウス事業などを展開。国内・海外生活は、すべてシェアハウス(ルームシェア)生活。
地方だからこそ出来ること。そこから生まれるストーリー
今まで都内の運営者さんを中心に、シェアハウスに辿り着くまでの道のりやそこに込められた想いについてインタビューをさせて頂きました。その中で今まで知ることがなかった素敵なお話をたくさん聞いてきましたが、地方のシェアハウスを運営している方は、一体どんな想いでシェアハウスに携わっているのだろうか。きっと素敵なエピソードをお聞きすることができるのではないかと思い、青春18きっぷを片手に握りしめ、富山のシェアハウスを運営する姫野さんにインタビューをさせて頂きました。
今回は、そんな富山初のシェアハウスを運営する姫野さんご自身のストーリーを紹介したいと思います。
シェアハウスのシアタールームの様子。
- ---姫野さんは、今ままで一人暮らしをしたことがないんですよね。
姫野さん そうなんです。そういう機会がなかったんですよ。大学時代は、兄と同じ大学だったので、一緒の部屋に暮らしていましたし、就職後も先輩と同じ部屋に住んでいましたね。それから会社を辞め、オーストラリアへ行ったんですけど、向こうではシェアが普通なので。
- ---一人暮らしをする機会がなかったのですね。ではその後、どういった経緯でシェアハウスの運営を始めたのでしょうか?
姫野さん その後は、富山へ戻り、実家に少し居たのですが、社会人ということもあり、家にいる間は親に3万円程払わないといけなかったので、それなら一人暮らしをしようかと思ったのですが、3万円程度だと大したところに住めなくて。それなら、大きな家を借りて、一緒に暮らしてくれる人たちを募ったら自分自身の家賃も浮くと思い、2009年に始めたのが最初ですね。そのときは全く収益とかは考えてなくて、募集を掛けたら、たまたま満室になり、それでもまた問い合わせがあったので、もう一軒やってみようと思いました。
- ---その当時はあまりシェアハウスってなかったですよね?
姫野さん 東京と大阪にはシェアハウスはありましたけど、あんまりメジャーではなかったですよね。この5年でかなり急速に広まったのかなと。もうシェアハウスって何ですか?って、言われなくなりましたからね。
本当の家族のようなコミュニティを増やしたい。
- ---姫野さんがシェアハウスを運営している目的は何でしょうか?
姫野さん シェアハウスで人間関係がいろんな方面に繋がっていったら、楽しいなっていうのが一番の目的でやっていて、だから30、40人で暮らすといった大型のものはあまり好きじゃなくて。
- ---深く人と関わっていきたいってことですよね。
姫野さん そうですね。なんかほんとに一つの家を共有できる家族をいっぱい作っていきたいっていうのがあるんです。だから、とりあえずもう個室にいっぱい分けて、部屋数多くすれば利益率がどうのこうのでっていうのはやっぱりあまりやりたくないですね。だから経営難なんですよ(笑)やっぱり富山はほんと家賃が安いので、家を4部屋か5部屋に分けているだけだと、どうしても利益率は良くないんですよね。鉄筋の商業ビルに個室をいっぱい作って、シェアハウスにしようかっていうのは、利益率は良いと思うけど、それじゃ温かみがないというか。
- ---シェアでの暮らしを経験しているから、尚更そう感じるのかもしれませんね。
姫野さん そういう本当に家族が住むような空間に普通の家族と同じように住むっていうのが理想かなと思っていますね。
- ---良いですね。それでは実際に運営しているシェアハウスの生活は交流が盛んなのですか?
姫野さん そうですね。自分が運営しているシェアハウス間同士でも交流が盛んですね。「こっちで○○パーティーするから、みんなもおいでー」って他のシェアハウスから来たりとか。シェアメイトが誕生時だからみんなでお祝いの動画撮ろう!
- ---退去した方ともいまだに繋がりがあるのですか。入居者の方が自ら積極的に企画してくれるのは良いですね。
姫野さん 僕じゃなくて、シェアメイトたちが自主的にやってくれるようなのを目指してやってますね。
- ---シェアメイトの皆さんは、他にはどんなことを企画したりするのですか?
姫野さん シェアメイトが中心となって、ホームパーティーをするのが多いですね。シェアハウスに住んでいる人が「猪と熊の肉を貰ってきたから、みんなで獅子鍋しようよ!」っていうのがシェアハウスで広まって、集まったりします。この間は30人でやったりもしましたね。
- ---他に飲み会とかもするのでしょうか?
姫野さん そうですね。外で飲みに行くこともあるし、今、長江に住んでいる人でジャズピアニストがいるので、今日もシェアメイトたちと「聴きに行こうかっ!」ってなって、みんなでその人のピアノを聴きながら飲むみたいなこともありますね。
シェアする暮らしから思いがけない発見がたくさんある。
- ---この仕事の姫野さんが思うやりがいは何でしょうか?
姫野さん やりがいっていうか、結局、自分がシェアハウスに住んでいるのがほんとに好きで、人とたくさん関わりあうので、いろんな人の話も聞けるんですよね。同じ趣味を持った人が集まって、同じ話題を共有したり、自分がもともと興味を持っているものに飛び込んでいくのするのも、もちろん楽しいし、そこから広がりもあると思うけど、やっぱり限定的だと思うんです。それがシェアハウスだと、思いもよらないところから発見があったりするのが面白いところだし、魅力だと思っています。
- ---ご自身で思いもよらないところから発見があったエピソードってありますか?
姫野さん そうですね。オーストラリアで見た目が派手な女の子とシェアで暮らしていたときがあり、最初はこんなやつと住めるか!と思っていたけど、その子なりにしっかりとした自分なりの考え方があって、強い面もあったりして。 行動も言動も稚拙な部分があったのですが、英語を話すのは超一流で、将来やりたい仕事っていうのが、当時19歳だったのかな、もう俺なんてやりたいことがなくて、オーストラリアでプラプラしていたのに、自分のやりたいことを明確に持っていて、一緒に話していて、すごく楽しかったし、自分もこんな子と仲良くなれるんだなっていう発見があったりもして。
- ---それは一緒に暮らしたからこそ発見できたことなのかもしれませんね。では、自分がシェアハウスに「住む側」ではなく、「運営する側」になって変わったことってありますか?
姫野さん シェアハウスを運営していて、色んな人の将来の夢を聞く機会が増えましたね。シェアハウスに住んでいると、寝る前にみんなで集まって、少しお酒を飲みながら、雑談をしていると、「僕こういうのしたいだよね~」っていうのから話が始まって、みんなで夢を語り合う雰囲気になるんです。「自分こういうことがしたくて、今こういう風にしてるんだけど、まあ出来るか分かんないんだけど、本当はしたいんですよね」っていうような人の夢を聞くと凄い勇気づけられるし、
- ---凄くよく分かります、自分もそうだったりするので。
姫野さん そうだよね。刺激になるもんね。普段バカみたいな話しているのも楽しいけど、そんな仲間が夜、自分の夢を語っていると凄い刺激になるから、そういう機会がシェアハウスだと多い気がしますね。時間帯と家の落ち着いた雰囲気が相交わり、自然と語りたくなるような不思議な魔力がここにはあるのだと思います。。もうこのまま上に行ったら、すぐ寝れるし、静かな感じの中で話をしていたら、やっぱりそういう話になるんだろうね。アットホームな空間じゃなくて、もう自分の家みたいだからね。本当に。
シックで落ち着いた雰囲気。確かに夜になると夢をみんなで語り合ってしまいそう。
シェアハウスを増やすことが目的ではなく、シェアメイトを増やしていきたい。
- ---今後もシェアハウスは増やしていくんですか?
姫野さん シェアハウスを増やしたいっていうのはあるけど、どちらかというと話題や生活まで共有できるようなそういう仲間、シェアメイトをたくさん作りたいんです。そういうシェアメイトを増やしていきたいから、その結果、シェアハウスは作らないといけないんですね。だから、シェアハウスを増やすっていうのが目的じゃなくて、シェアメイトを増やしていきたいんです。
- ---「シェアメイトを増やしたい!」がまず先にあって、その結果としてシェアハウスを増やしたいんですね!
姫野さん そうです!やっぱりそういう仲間をこれからも増やしていきたいですね。
- ---本日は、素敵なお話をしてくださり、本当にありがとうございました!