事業者インタビュー:井上 聡子(株式会社リビタ)
Category: インタビュー株式会社リビタ コンサルティング部チーフコンサルタント 井上聡子
東京シェアハウスでは、今までシェアハウスという物件に焦点を当てて活動してきましたが、シェアする暮らしの魅力は ”人同士のつながり” やそこで生まれる "物語” にあると思います。
どうしてシェアハウスなのか、シェアハウスに辿り着くまでの道のりは?
そこに携わる人たちの素の部分にも迫って行きたいと思い、今回、インタビューを始めるに至りました。
記念すべき第一回目は、株式会社リビタの井上さんに話を聞きたいと思います。
シェアプレイスの神様が降りてきた。
リビタで運営するシェアプレイスシリーズの企画をいくつも手掛けてきた井上さん。数多くの既存物件を実際に現地まで足を運び、自らの目で見て、次なる企画を考えるのだそうですが、最初に建物を見たときのインプレッションや直感というものを大切にしていると言います。中にはシェアハウスにできなかった物件も数多くあると仰っていましたが、次なる企画にマッチする建物と運命の出会いを果たした時には、社内の同僚や上司に「シェアプレイスの神様が降りてきた」と言って回るのだそうです。
また、インタビュー時、シェアプレイスの神様がまさに舞い降り、12月1日にオープンを控える「シェアプレイス東神奈川99」(以後、SPH99に省略)の魅力についてもたっぷりと伺ってきたので、是非ご覧ください。
- ---SPH99は井上さんが企画に携わったとのことですが、今回の企画に至った経緯をお聞かせ頂けますか?
- 井上さん
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SPH99は、最寄りの東神奈川駅からは徒歩12分と若干距離はあるのですが、少し坂を上った小高い丘の上にあり、最初に訪れたときの印象としては、空と太陽が近い場所だな~、と感じました。そのため、周りに遮る物が何もなくて、晴れた日には富士山を臨むこともできるんですよ。だからこそ、そんな素晴らしい立地条件を強みに何か企画が考えられないかな、と思ったんです。
- ---立地条件もさることながら、今回は2棟建てと、何だか珍しいタイプのシェアハウスだとお聞きしたのですが。
- 井上さん
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そうですね。もともと2棟の建物が向かい合うようにして並んでいるため、必然的に生まれる何もない空間の繋がりをどのようにするか、という点には特に気を配りました。また、建物の構造上の障壁を逆に利点として生かせないかなと思い、細切れのスペースを多く設けたんです。大きな空間で大勢の人と交流するのも良いけれど、住んでいる人たちが利用目的や気分によって、選択できる空間というものも大事なのではないかと思ったからです。
- ---具体的に、その細切れのスペースにはどのような空間が用意されているのですか?
- 井上さん
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勿論、大型物件ならではの広々と開放的なメインラウンジも用意してありますが、気分によっては大勢の輪の中に入りたくない日だってあるかと思います。そのようなケースを想定して、ある種逃げ場となるようなスペースをハウス内の各所に設けました。例えば、少人数で集まれるミニラウンジや、シアタールームに心和む和室、さらには利用目的を特に決めていないフリースペースなどがあります。
- ---では、中央の広場については如何でしょうか?
- 井上さん
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広場は2棟の建物に挟まれたオープンテラスとなっているので、近隣の方たちにも開かれた「小さな街」のような空間を意識しました。また、大きなメイン広場の他にも芝生が生い茂るエリアには、菜園やプレイロットも用意し、住んでいる人たち、さらには近隣の子供たちの笑い声が溢れる空間に仕上げました。今後はイベントなども企画していくつもりです。
- ---地域の人たちを巻き込むのは、何だか面白そうですね!そのような空間を作る際に、何かこだわられた点はありますか?
- 井上さん
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こだわりというか、心掛けたのは、こちら側で作り込み過ぎず、敢えて余白を残すという点ですね。それは、あくまで住んでもらった入居者の方にシェアハウスを育ててほしいという想いがあるからです。また、無理に共有部へ顔を出さなくてもよく、お互いが近すぎず、遠すぎない距離感を築ける空間というものを意識しました。
横浜のランドマークとなる場所に成長していってほしい。
共有部だけではなく、各々がプライベートな時間を過ごす個室も入居者のニーズに合わせて選べるよう、いくつかのパターンを用意したのだとか。例えば、ガレージタイプの個室は、部屋の中まで自転車やバイクを運ぶことができ、自由な時間にメンテナンスを行うことができます。さらには、天井の高さを生かしたロフトタイプのお部屋もあるのだそう。
共用部と専有部共に、ゆとりある空間が用意されているため、ゆったりとしたスローライフを送りたいという方、自分の趣味に没頭したい方には、ぴったりの場所だそうで、 まさに使い方は無限大。そんな可能性に満ちた空間が横浜のランドマークの一つになるには、そう時間は掛からないのかもしれませんね。
さて、お次は、今回の企画を手掛けた井上さんご自身のお話しについて、伺ってみました。
- ---井上さんがこの事業に携わったきっかけは何ですか?
- 井上さん
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前職は電機メーカーの不動産部門で新築の戸建や分譲の企画・販売をしていました。築20年くらいのまだ比較的新しい建物であっても、次の企画の為に壊して、一から新しいものをつくったりしていたのですが、まだ使えるものを壊してしまうのには、どこか抵抗を感じていましたね。
- ---ということは、もともとはリノベーションに興味があったのですか?
- 井上さん
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そうですね。既存の建物の構造やもともとの良さを生かし、歴史を引き継いだ新しい建物に蘇らせる。そんな仕事をしたいと思っていました。というより、前職で新築ばかりをやっていたから、沸々とそういう思いが芽生え始めたのかもしれません。あと、私の祖父が建築の仕事をしていたので、知らず知らずのうちにどこか意識していた部分もあるでしょうし、何かしらの興味を抱いていたのかもしれませんね。
- ---では、シェアハウスに関しては如何でしょうか?
- 井上さん
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実は、留学先のカナダで半年ほど暮らしていた時期があったのですが、そのとき、大型の寮に住んでいて、当時のことを振り返ると、今でいうシェアハウスのような暮らしに近かったのだと思います。そして、なぜ海外ではごく一般的な住まいや暮らしをシェアする文化が日本にはないのかな、と単純に疑問に思っていました。
- ---そうなんですね。これまでのお話を伺っていると、多くの経験や疑問が今のお仕事に繋がっているような気がしますが。
- 井上さん
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特に意識はしていないのですが、そうなのだと思います。前職での経験や海外での滞在経験が、まさに今の仕事に結びついているのかもしれません。
- ---経験は力なりですね!それでは、様々な経験や体験を経て、井上さんが思うこの仕事のやりがいを教えて頂けますか?
- 井上さん
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既存の物件をシェアハウスにコンバージョンするという点で、必ず構造上の問題であったり、何かしらの壁にぶち当たるのですが、私個人的には、全てが自由であるよりも、制限がある中で如何に最大限のパフォーマンスを引き出すことができるのか、それを考えながら企画を練るのがとっても楽しんですよ。だけど、シェアハウスの場合、自分の思い描いたハコが完成してもまだ終わりではなくて、そこからが始まりなんですよね。自分自身が企画した場所に人が住み始めて、その方たちとイベントなどを通じて、直接コミュニケーションを取る時間が何よりのやりがいとなっています。
- ---自分が企画した場所で、実際に住んでいる人たちと交流できるのはとてもいいですね!最後に、現在シェアハウスを検討されている方たちに一言お願いします。
- 井上さん
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うーん、そうですね。。リビタが運営するシェアハウスで暮らせば、とにかく幸せになれます!(笑)スタッフも愛情を込めて、企画・運営・管理に取り組んでいますし、何より実際に住んでいる人たちの変化をこの目で見ています。住み始めた当初と退去されるときには、まるで別人!という方も中にはいらっしゃるんですよ。私たちとしては、住んでいる間に、何か少しでもきっかけを見つけて、今後の人生にプラスとなる経験をたくさんしてほしいな、と思っております。なので、少しでも興味がある方は、是非一度リビタのシェアハウスに遊びに来てください!