起業を志す学生を応援するサービスを提供する株式会社ウィルフ代表取締役社長 黒石健太郎。起業家トークイベント「QAGO」、起業を考える学生対象のビジネススクール「WILLFU STARTUP ACADEMY」、学生起業家シェアハウス「WILLFU STARTUP VILLAGE」を提供している。
本気の学生起業家を応援するプラットフォームが必要
最近、「学生起業家」という名前をよく耳にするようになってきました。
リブセンス社長の村上さんが、在学中に事業を立ち上げ、最年少で上場を果たしたニュースも記憶に新しいかと思います。
しかし、一般的にはまだまだ学生起業家の成功確率は低く、大きく成長するベンチャーが生まれづらいと言われています。
そんな課題を解決するための仕組みを生み出したのが、今回インタビューさせていただいた株式会社ウィルフ代表取締役社長の黒石さん。
黒石さんの運営する「WILLFU STARTUP VILLAGE」は学生起業家を応援することを目的にしたコンセプト型シェアハウスとなっており、上場経験のある起業家を始め、様々な起業家や投資家がアドバイザーに付いて、運営されています。
今回は、企画・運営を手掛ける代表の黒石さんと、実際に現在住まれている二人の入居者の方にも生の声を伺ってきました。
在学中に起業を考えている学生さんは、是非ご覧になってみてください。
学生起業家シェアハウスを運営する黒石さん(右)と入居者の大澤さん(中)、大久保さん(左)。取材中でも、黒石さんの学生に向き合う姿勢が印象的でした。
- ---それでは、まず初めに、なぜ学生起業家を応援しようと思ったのでしょうか?
- 黒石さん
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そもそも、僕がウィルフを立ち上げた目的は、最終的に日本の成長を考えたときに、起業家の数を増やすことが必要だと思ったからなんです。最終的に起業している方々の過去のプロフィールを調べてみると、学生時代に起業している方が非常に多かった事実から、学生時代の起業経験が最終的な起業家を生み出すのではと考え、学生起業家を応援しようと考えました。
- ---その中でも、なぜ、シェアハウスを始めようと思ったのでしょうか?
- 黒石さん
-
理由は、3つあります。 1つは、学生起業家の成功する確率が、経験ある起業家と比較して低かったからです。そのため、先輩経営者や投資家から、定期的にフィードバックが得られる環境を整え、成功する確率を引き上げていきたいと考えました。 2つ目は、学生起業とはいえ、会社を設立すると、オフィス代金や税理士報酬など様々なコストがかかるからです。そこで、オフィス機能付きのシェアハウ スを 3.7 万円から提供する事で、コスト削減をご提供したいと考えました。さらに、税理士さんのご協力も頂き、入居者には税理士顧問料もかなり安くご提供 頂いています。 3つ目は、本気の学生起業家がまだまだ少ないからです。普通に学校の友人と付き合っていると、少し事業を立ち上げただけで「あいつはスゴい!」と言わ れます。しかし、学生起業家だけのコミュニティでは、「お前、まだそんなこと やっているのか」と言われる。前者のコミュニティにだけ所属していると、成長スピードが下がってしまう。そこで、本気の学生起業家だけが集まる場を作ることで、「当たり前レベル」を引き上げ、成長を喚起できるのではと考えたの です。
- ---なるほど。具体的には、どんな方々からフィードバックを頂けるのですか?
- 黒石さん
-
元々、サイバーエージェント藤田晋社長からの出資を受けて始まったシェアハウスですので、サイバーエージェントのグループ会社社長を中心にフィードバ ックを頂けます。また、起業家さんでは、最近 2 億円の資金調達を行なって急成長する BASE 株式会社の鶴岡社長、3 社の上場をご経験された株式会社アエリア CFO 須田様、5 社目の起業で日本テレビと資本提携を行い、急成長する Creww 株式会社 CEO の伊地知様など、そうそうたる面々からフィードバック頂けます。さらに、投資家としては、サイバーエージェント藤田ファンド責任者の小野様、Skyland Ventures 代表パートナーの木下様、日本ベンチャーキャ ピタル株式会社の清水様などにもフィードバック頂けます。
- ---具体的にはどのようなご支援があるのでしょうか?
- 黒石さん
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月に 1 回、いずれかの先輩起業家の方がシェアハウスに来て頂けるため、その時の進捗状況や事業を展開する上での懸念や悩みなどを共有し、何でも気軽にアドバイスを頂くことができます。
- ---とても充実したプログラムですね!これだけの方にご支援頂ければ、心強いですよね。
- 黒石さん
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そうですね。これだけの環境が整っているので、ぜひ、「本気で事業を立ち上げ たい!」「このサービスを成功させたい!」「社会課題を解決する事業を立ち上げたい!」など、色んな志を持った学生さんに、来て頂ければと思ってい ます。
世界中で使われるサービスを作りたい
- ---大澤さんは、実際に今学生で、既にサービスを立ち上げていると伺ったのですが、どういったサービスなのでしょうか?
- 大澤さん
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僕は、aorbというモバイルQ&Aアプリを作成しています。このアプリは、投稿者の写真付きの質問に対して二択で答えるというシンプルなアプリなのですが、完全に匿名で絶対にレスポンスが返ってくるということもあって、あまり人には聞けないような二択問題を出してみたりして、楽しむこともできます。回答が集まりやすいというところがありますね。今のところは回答率100%で、24時間以内には絶対に反応が返ってくるので、早くたくさん反応を集められるアプリとなっています。Googleに聞けない事も聞けますね(笑)
- ---すごい面白いアプリですね!なぜWeb系での起業を考えたのですか?
- 大澤さん
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僕は高校生の時にニコニコ動画にハマって以来、Webにどっぷりハマってしまいまして、そこからですね。このアイディアを思いついたのが去年の夏で、そこからビジコンなどで仲間を見付けて4ヶ月かけて開発しました。もともとこの仕事は一日中同じアプリを見続けるような仕事なので、変態的に好きじゃないと続けられないと思います(笑)
- ---昔から起業は考えていたのですか?
- 大澤さん
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起業というよりは、自分が作ったサービスを皆に使ってもらいたいという思いがありました。その手段として、起業が一番大きなチャンスかな、と思って起業というものを意識し始めた感じです。今では、世界で使われるアプリにしようという目標ができました。
- ---このシェアハウスに住んだ理由はなんでしょうか?
- 大澤さん
-
もともと、黒石さんが Facebook で発信したポストで知ったことがきっかけでし た。起業家なので、ワークとライフを切り分けずに、24 時間働ける環境がいいと思っていたので、家にオフィス環境があることが魅力でした。また、メンタ ーの先輩起業家さんの層が本当に厚く、魅力的だったこともあり、入居を決め ました。
入居者の大久保さん(左)と大澤さん(中)のとても学生とは思えないような発言に驚かされました。
ソーシャルビジネスで、世界の貧困問題を解決したい。
- ---大久保さんはどういった起業を考えているのですか?
- 大久保さん
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私はもともとベトナムの孤児院に行ってボランティアをしていたんです。そこから大学に入って、カンボジアの衛生教育支援をしていました。学校を立てるとかハード面の対策はお金を集めればすぐできるんですけど、そうではなくて、知識とか知恵とかで彼らの生活をよくしようという活動をしていて、手洗いとかマラリアにならないような対策の方法を教えていたりしました。そこから発展して今の目標になりましたね。
- ---大久保さんは現在大学を休学して、関西から上京し、このシェアハウスに住まれているという事だったのですが、きっかけはなんだったのですか?
- 大久保さん
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やりたいことをつきつめようとしたら、人も情報もお金も集まる東京に出て来 るしかないと思って、東京に出てきました。このシェアハウスに入居したのは、ここの設備とかよりも黒石さんが好きだからここに来たって感じですね。黒石さんは私の考えを俯瞰して見てくださるので、自分の考えやビジネスプランを 整理できて、とても助かったのでここに来たという感じです。
- ---休学ってすごいですね。大学との両立は難しいと思うのですが、両立はできていましたか?
- 大久保さん
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私はもともと社会の動きとかに興味があって、ちゃんと勉強はしていました。法学部でテストの成績が大事ということもあったのでちゃんと出席もしていましたね。あと、大学はそれまでの中学とか高校とかと違って、本当に様々な価値観に触れる事ができて、とても刺激を受ける場でもあったので、私にとっては貴重な場でした。
皆さんのアットホームさもあって、楽しみながらの取材ができました。
- ---それでは最後に、この記事を見て、入居を検討されている方たちへメッセージをお願いします。
- 黒石さん
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大学に入って事業を立ち上げようと考えている学生さんや、既に立ち上げてい る学生さんは、まず、ぜひ見学に来てみてください。入居されるかされないかに関係なく、学生起業家の方を全力で応援したいと思っています。
- 大澤さん
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領域は何でもいいので、変態的に何かが好きな方には是非来てほしいですね。 その熱が、新しい刺激を生み出すと思うので。
- 大久保さん
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色々な分野の人たちが集まれば楽しそうだなって思います。Webでもソーシャルでもそれ以外でも。
大澤さんのお話も大久保さんのお話も、学生とは思えないほどしっかりしていて感銘を受けました。黒石さんも、そういった学生に充実したプログラムを提供したいという熱い思いと、それとは反対に、客観的な目線で、より現実的な考えを持っていたのが印象的でした。
シェアハウスだからこそできること、学生だからできること、それらをうまく組み合わせて刺激の受けられる環境が整っている「WILLFU STARTUP VILLAGE」。現在、起業に踏み出している学生の数は7000人で、起業したいと考えている学生は14万人とのこと。自分だけのアイディアとして終わらせるのはもったいないですよね。