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PROFILE(左から)
・三宅さん(30歳):○香川県出身○入居8カ月○映画配給、飲食店勤務。・幹戸さん(34歳):○大阪府出身○入居9カ月○飲食店勤務。

ドキドキワクワクする気持ちを少しでも皆と共有できたら、きっと世界は広がる

シェアハウスでの生活は時に思いがけない出会いや経験を運んでくれるもの。入居する前に何となく思い描いていた日常風景は、その想像をはるかに超え、自分自身を新たな境地へ導いてくれることだってあるのです。

 

そんな思いがけない一つの素敵な出会いから始まり、今では住人だけでなく、定期的に多くの人たちが集まるイベントを企画し、webサイトを立ち上げてその活動の記録を綴ったり、週末になれば自宅でBarを開いたりと、何だか面白い活動を行っているシェアハウスの住人の方がいると聞き、早速取材に訪問させていただきました。

 

場所は、井の頭線・小田急小田原線「下北沢」駅から徒歩7分のシェアハウス「Bacchus下北沢」。何といっても特徴的なのは、大小2つのリビングの他に、Barスペースが付いていること。この場所は、住人だけでなく、外部の人たちと交流できる場として、Bar専用の出入り口が設けられ、ちょっとしたイベント会場としても利用することが可能だそうです。

 

「なんか面白いことやろうよ!」そんな何気ない一言から、実際に形になるまでの推進力は、一緒に住んでいるからこそ生み出されるものだったりする。とインタビュー中にも仰っていましたが、一緒に住んでいるからこそできることってもっとたくさんあるような気がするし、一緒に住んでいるからこそ共有できる体験は、自分自身の新たな世界を広げてくれる可能性をも秘めていると思います。

 

そんな魅力溢れる場所での共同生活はきっと新たな出会いを創出し、多くの刺激に満ち溢れた体験を得られるに違いないと思い、実際にそのシェアハウスで暮らす住人の方にインタビューをさせて頂いたので、早速その模様を是非ご覧ください!

 

 

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インタビュー中の様子。夜になると、Barスペースには人が集まり始め、お酒を嗜みながら、会話が飛び交います。

 
---本日はよろしくお願いします。まず最初に三宅さんからお話を伺っていきたいと思いますが、そもそもシェアハウスを選んだ理由について教えていただけますか?
三宅さん 
香川から上京するに当たって、家具や家電など何も持っていなかったからです。シェアハウスには、初めから日常生活を送るのに十分な設備が一通り揃っていたので、それが一番の大きな理由ですね。
 
---香川県から上京するに至った経緯は?
三宅さん 
映画の配給の仕事がしたくて。もともと香川にいた時には、ミニシアターの支配人をやっていたのですが、この年齢になり、いろいろとこれからの人生について考えたとき、上京して勝負をするなら今しかないかなと思ったので。
---それでは、今は映画配給のお仕事をされているのですか?
三宅さん 
上京してきて、すぐに配給の仕事をできるほど現実は甘くなく、当然ながら東京での付き合いも少ないし、家賃も支払わなければならないので、すぐに飲食店でアルバイトを始めました。それでも、映画配給の仕事はずっと探していて、もともと香川で劇場支配人をしていた当時の知り合いに、映画関係者の方を紹介してもらったが一つの大きな転機でした。
 
---上京前の繋がりが、上京後の新たな出会いに結びついたのですね。
三宅さん 
そうですね。下北沢にある映画好きが集まるBarで関係者の方を紹介してもらい、少しずつ配給の仕事にも携わらせて頂きました。そして、ついに今年の7月、個人での配給第一作目の公開が決まり、しかも、その作品を手掛けた監督が、僕と関係者の方を繋げてくれた方なので、とても感慨深いですね。
 
---個人でというのは、すごいですね。おめでとうございます!何だか着々と自分の夢に近づいているようですが。
三宅さん 
多くの良き出会いに恵まれたことはもちろんですが、下北沢という場所を選んだのも良かったのかもしれません。この街にはたくさんの劇場やライブハウスがあって、駅を出れば、毎日誰かがストリートライブをやっていたり、舞台公演のチラシを配っていたりします。そんな芸能と深く関わりある土地柄だからこそ、様々な刺激を受け、素敵な出会いにも恵まれたのだと思います。 
 
---三宅さんは映画が好きということで、もしも映画好きが集まるシェアハウスができたとしたら住んでみたいですか?
三宅さん 
うーん。。。絶対に嫌ですね(笑)そんな狭い世界の中で生活したいとは思いません。シェアハウスって、いろいろな人たちが集まるから面白いわけで、同じ価値観・趣味趣向の人たちとの共同生活は、僕にとってはちょっとしんどいかもしれませんね。
 

いろいろな考え方に触れられて、それぞれが輝ける場所がある

 
---さて、お次は幹戸さんにお話を伺いたいと思います。幹戸さんはもともと雪山で生活をしていた経験があると聞いたのですが、どのような暮らしぶりだったのでしょうか?
幹戸さん 
基本的には、ゲレンデで働きながら、空いた時間に仲間とスノーボードを楽しむというサイクルで過ごしていました。その当時住んでいたのは、一緒に働いている仲間と共同生活を行う寮のような形態で、まさに今でいうシェアハウスの原型とも言える場所だったのだと思います。なので、他人と一緒に暮らすということに関しては、そもそもあまり抵抗はなかったですね。
---何だか合宿生活のようですね。反対に一人暮らしの経験はありますか?
幹戸さん 
一人暮らしをしていた時期はありますが、一人暮らしとシェアでの暮らしを天秤にかけると、シェアハウスに住むことによって得られるメリットの方が断然大きいと感じます。僕はもともと皆で体験や経験を共有したりすることが好きということもありますけど、多くの人と出会った方が何をするにしても、可能性が広がりますし、いろいろな考え方に触れられる良い機会でもあると思います。もちろん、人並みに一人になりたいと思うときはありますが、各自個室が与えられているため、気分が乗らないときは、部屋に居れば済む話なので。
 
---多くの人と出会い、可能性が広がると仰っていましたが、シェアハウスに住み始め、ご自身の中で何か変わったことはありますか?
幹戸さん 
たくさんの考え方や価値観に触れられたからといって、自分自身の考え方がガラリと変わることはないのですが、多くの人たちとの出会いによって、自分の身の回りの状況が変わりました。今、一緒にインタビューを受けている恭平くんとシェアメイト何人かとで飲みに行った時に、「うちにはせっかくバースペースがあることだし、何か面白いことができたらいいね」と何気なく話していたんですよ。でも、そんなお酒も入った飲みの場での会話がきっかけで、たくさんの人たちがもっとフラットに繋がれるような場があったら面白いなと思い、すぐに企画を考え始めました。
 
---何気ない会話から実際に物事が動き出したのですね。確かにこれだけ素敵なバースペース用意されているのであれば、何もしないのは勿体無いのかも。
幹戸さん 
そうですね。まずは、バースペースを活用してのイベントから始まったのですが、今では多岐に渡ります。実は僕たちが活動する団体のグループ名もあって、その名も「東京アスレチック」といいます。webサイトもあるので、是非覗いてくれたら嬉しいです!

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自分たちで作成したという「東京アスレチック」のWEBサイトページ

「楽しい!」、「やってみたい!」のハードルを下げて、新しい世界に飛び込む

 
---その「東京アスレチック」では、具体的にどのような活動をしているのですか?
三宅さん 
特に縛りなどはなく、自分たちが面白そうだな、やってみたいなと思うことを毎回企画しています。第一弾は、「旅」をテーマにこのバースペースを利用して、イベントを開催しました。旅好きだけが集まるというものではなく、旅について深く知ってもらうことだけでもなく、このイベントを機に「旅」について興味を持ってもらったり、「旅」というキーワードを一つの取っ掛りにコミュニケーションが生まれれば良いなと思い企画しました。
---「旅」は皆で共有しやすい一つのテーマかもしれませんね。その他にはどのようなイベントを行っているのでしょうか?
幹戸さん 
その他には、自分の得意分野でもあるスノーボードツアーを企画したり、サバイバルゲームやハイキングなども行いました。あとは、意外と大人になると、その季節でしか楽しめない行事ごとなども、何となくスルーしてしまいがちなのですが、きっと多くの人たちと共有できればもっと楽しめるのではないかと思うので、季節ごとのイベントも大事にしていきたいですね。
---いろいろな内容の企画があって面白いですね。でも、日々の仕事などをこなしながら、これだけのイベントを企画されるのはとても大変な気がするのですが。
三宅さん 
普通であれば、打ち合わせの日程を調整するだけでも一苦労なのですが、シェアハウスに住んでいれば特に時間を気にすることもなく、仕事後、リビングに集まって打ち合わせができるのでとても楽ですね。一つのアイディアを形にするスピード感でいえば、一緒に住んでいた方が圧倒的に早いと思います。

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初心者からベテランまでが参加したスノーボードツアー。各々の友人や知人を誘っての活動は、また新たな繋がりを創出します。

お米作りから始まる日本酒製造、七夕に廃校でキャンプ。楽しいこと絶賛考案中!

 
---「東京アスレチック」での取り組みや活動は、将来的にどのような画を描いているのでしょうか?
幹戸さん 
僕たちは活動の規模を大きくしたいとか、もっと多くの人たちを集めたいとか、そういうことを目標にしているのでは決してなく、一人ではなかなか踏み出せないことや、何か機会がないと体験できないことって、たくさんあると思うんですよ。だからこそ、僕らがいろいろな催し物を企画し、「なんか面白そう」→「よし、やってみよう!」と思ってから、実際に行動に移すまでのハードルを下げてあげることによって、多くの体験や人との繋がりを各々が創出してくれれば良いな、と思っています。大きな未来予想図よりも、一つ一つの機会や出会いを大切にして活動していきたいですね。 
---まだ公表できないこともあるかと思いますが、今後の活動計画について教えてください。
三宅さん 
これからは、夏に向けていろいろなことを企画しています。例えば、自分たちでお米作りから始めて、自家製の日本酒を作ってみたり、七夕には廃校になった小学校を貸し切って、キャンプを企画しています。せっかく学校を使ってキャンプをするのだから、運動会や学力テストなど、学生時代にタイムスリップしたかのようなオモシロ企画を考えています。また、大きなイベント以外にも、週末にはうちのバースペースでゆる~くお酒も振舞っていたりするので、是非気軽に遊びに来てください! 
---今後も面白そうなイベントが目白押しですね!幹戸さん、三宅さん、本日は貴重なお時間を頂き、本当にありがとうございました!今度はイベントにも是非参加させてください!

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60人以上の人が集まったというお花見での一幕。この日は、目玉企画として鏡開きが行われたそうです。

最近のシェアハウスの動向としては、どうしても豪華な設備やお洒落な内装デザインに注目が集まってしまうのですが、本当に大切なのは、その場所で暮らしている人たちの日常生活や日常風景、そして、その住まいで育まれるコミュニティなのではないかと、改めて考えさせられました。

 

家族、友人、ましてや赤の他人と一緒に住むということは、デメリットが付きものではありますが、反対にメリットも同じくらい、いや、それ以上に大きかったりするような気がします。何事も考え方次第だと思うので、どうせなら、他人と一緒に住むことで得られるメリットを最大限に享受し、自分自身の成長に活かしてほしいと思うのです。

 

少し偏った考え方に聞こえるかもしれませんが、どこかでそんなことを意識しながら、シェアハウスでの日常を過ごしていれば、日々の行動や自分自身の考え方にも、少しずつ変化が芽生えるのかも。
 

 
5年後、10年後に再会を果たす仲間の姿。それぞれがどんな道を歩み、どんな変化を遂げているのか。同じ体験や経験を共有した仲間だからこそ、その未来の姿、未来の再会が楽しみでなりませんね。
Author/加川 真也
東京シェアハウス合同会社 マネージャー兼エディター。自慢できることはシェアハウスに訪問した数(300物件近くになるかと)。また、現在某シェアハウスに入居中。入居者の立場からも、シェアハウスの魅力を伝えていければと思っています。