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PROFILE
暮らしカンパニー代表。2009年よりシェアハウス事業を開始し、現在では都内を中心に10棟以上ものシェアハウスを手掛ける。

若いうちにたくさんの苦労を経験してほしい

 

今回のインタビューは、シェアハウス事業以外のご本人のお話もたくさん伺うことができました。現在運営を行っているシェアハウスのお話しを皮切りに、ご自身の生い立ち、さらには、人生観までも赤裸々に語っていただきました。特に小原社長自身が若い頃にたくさんの苦労を経験したからこそ、今の若者に対する思いは強く、当時は無駄ではないかと思われた様々な経験が今の礎ともなっていると仰っていました。

 

その他にも、今現在の日本の状況には、とても危機感を持っているようで、シェアハウスがそうした社会問題を解決するための一つの糸口ともなりうると、シェアハウスの未来に向けた可能性や小原社長が思い描くビジョンについてもお聞きしました。

 

経営者という立場で、たくさんの経験をなさっているからこそ、発せられる言葉の一つ一つにとても重みを感じましたし、今回はそんな運営者さん自身の考えや思いについても掘り下げながらインタビューを行ったので、是非ご覧ください。

 

今回取材に応じてくれた小原社長。お話を伺う前は作業着に身を包み、黙々と内装工事を行っていました。
 

一貫しているのは、「自分が住みたい場所を作る」こと。

現在都内で10棟以上のシェアハウスの運営を手掛ける暮らしカンパニーさん。シェアハウスのコンセプトについて代表の小原社長に訊ねると、「特にありませんよ」という言葉が返ってきました。しかし、その言葉の裏には、広告や宣伝で使えるようなわかりやすいものではなく、もっと根本的な部分で常に一貫していることがあるという言葉の裏返しでもありました。それは、自分自身が住みたいと思える場所をつくり、実際にそこで暮らす人たちへ提供するということ。その一貫した理念や想いについても、お話を伺うことができました。

 
---自分が住みたい場所を作りたいという想いが芽生えたのには、何かきっかけがあったのでしょうか?
小原社長 

もともと、シェアハウス事業を始めたのは今から5年ほど前に遡るのですが、最初は付き合いのあった外国人の方に頼まれて作ったのがきっかけで、その時に自分自身も実際にシェアハウスに住んでみたんですよ。そうすると、複数人で住む場合、何が必要で、何が足りないのかということがはっきりとわかったんです。そして、自分でつくるとしたら、共用部にはこれが必要で、個室には最低限これは必要だな、と考えているうちに、結局は自分が住みたいと思える場所を作ろうじゃないかと、思い立ったわけです。

 
---ご自身がシェアハウスで暮らした経験が、事業を始める上で役に立っているわけですね。では、シェアハウス事業を展開される前は何をされていたのでしょうか?
小原社長 

うーん、良い意味でも悪い意味でも、語り尽くせないほど、たくさんの経験をしましたね。。もともと実家が自営業で、周りにも商売人が多かったため、子供の頃から自分でお金を稼ぐことしか頭にありませんでした。既に小学生くらいのときから金勘定は得意でしたから(笑) 若い頃は名古屋で仕事をしていたりしたのですが、うまくいっていたときは、同年代では到底頂けないような額の収入を貰っていた時期もありました。しかし、お金を持つと、悪い人もそれ相応に寄ってくるので、随分と人にも騙されましたけどね。

 
---そうなんですか?小原社長が人に騙されるというイメージがどうしても湧かないのですが。
小原社長 

まだまだ若かったこともありますし、こう見えても僕、人が良いから、騙されちゃうんですよ(笑) 信じていた友人にも騙された経験がありますしね。そのおかげで明日の行方も分からないくらいのどん底を味わったこともあります。

 
---そんな経験をしてしまったら、人間不信にでもなってしまいそうですけど。
小原社長 

そうですね、その当時はかなり堪えましたよ。それでも、今こうやって生きているので、振り返ると、良い経験だったのだと思います。もちろん、今の歳で同じような経験をすることは到底できませんし、絶対にしたくもありませんが、若い人たちには、若いうちにたくさんの苦労を経験してほしいですね。もちろん、強要するつもりはないのですが、その方が人間としての幅も広がりますし、過去を振り返った時に、不思議と苦い思い出なんかも愛おしくなったりするんですよね。

 

シェアハウスに住む。その選択と決断は、自分自身を変えられる一つのきっかけにもなる。

 
---それでは、少しお話を戻しまして、小原社長が考えるシェアハウスの魅力とは何でしょうか?
小原社長 

価値観の違う人たちと出会えるというのは、誰もが口にするシェアハウスの魅力だと思うのですが、事業者側から言わせてもらうと、シェアハウスを作る工程、これがとても楽しいのです。今はこんな恰好をしていますが、現場にいるときはほぼ作業着です。壁紙を貼ったり、ドア枠を取り付けたりと、ある程度、内装を仕上げる工程は自分一人でも行えます。

 
---社長自ら現場まで足を運び、作業をするのですか?それは驚きですね!
小原社長 

そうですね、なかなかいないと思いますよ。(笑)普通の賃貸住宅とは違って、住居人同士が交流し合うことのできる共用スペースがあることがシェアハウスの特徴でもあり、自分のアイディアを自由に表現できる場でもあります。そのため、ある日、たまたまふと立ち寄ったカフェがとても良い雰囲気で、そこから次に手掛ける物件のインスピレーションが生まれたりもします。その温めたアイディアを具現化できた瞬間が何にも代えがたい喜びだったりするのです。そういった点を入居者のみなさんにも楽しんでもらえたらな、と思っています。

 
---事業者さん自身が楽しみながら、企画・運営されているのは、住む側としてもとても嬉しいと思います。それでは反対に、シェアハウスで暮らしている人たちがシェア生活を楽しむ秘訣はありますか?
小原社長 

楽しみ方はハウスの規模によっても異なりますし、人それぞれ異なるものでもあると思います。しかし、これだけは心掛けてほしいことがあります。それは、挨拶です。本当に初歩的な振る舞いに関してなのですが、実は挨拶をきちんとできない人が意外と多いのです。住んでいる方の中には、あまり自ら他人に話しかけるのが得意ではない方もいるかと思いますが、挨拶を交わすだけでも印象は随分と変わります。また、最初の挨拶がきっかけで話しが弾む場合だってあると思います。挨拶さえきちんとしていれば、他人から嫌われることもありません。今更何を言っているのだと思われるかもしれませんが、他人と良好な関係を築く上で、「挨拶」だけは常に心掛けてほしいです。

 
---やはり、どこにいても、人との付き合いで最も大切なのは礼儀ということなのですね。まだまだたくさんお話を聞きたいところなのですが、最後に今後の展望をお聞かせください!
小原社長 

そうですね。住む場所を貸しているだけではなく、ソフト面が重要視される分野で事業を行っているわけですから、やはり社会の為に何か貢献したいという思いは常に持っています。ただお金だけを稼ぐためだったら、この仕事はやっていません。私は、今の日本は非常に”やばい”状態だと思っています。少子高齢化が着実に進行している中で、シェアハウスが寂しさも感じず、気楽で居心地の良い場所という認識で住まれてしまっては、増々この問題は深刻化していくばかりだと思います。だからこそ、今後はシェアハウスという場が次のステージへステップアップするためのきっかけの場としたいのです。その取り組みの一つとして、婚活系のイベントを行うのも面白いかもしれませんね。また、会社自体の体制も同時に整えていきたいです。具体的には、子供が生まれてからも働くことができる環境として、託児所を自社に作りたいとも思っています。とにかく、日本社会が抱える問題を解決する一つの糸口となるような事業にまで発展させ、普及させたい!これが当面の目標です。

小原社長の歯切れ良い返答に、聞いているこちらも何だかすかっとした気分になってしまったのですが、それも全て一貫した理念や思いをお持ちであるからこそで、まだまだ未熟者である筆者自身もとても勉強になりました。
 
運営されているシェアハウスも言うまでもなくとても魅力的なのですが、運営者さん自身の人柄も同じくらい魅力的で、いろいろな背景や想いというものを感じながら住めば、より一層愛着が湧くのではないかな、と思います。
 
インタビュー時、実際は小原社長と一時間以上もお話しさせて頂き(オフレコのお話を含め)、読者のみなさんにまだまだ伝えたいことがたくさんあるのですが、小原社長はシェアハウスで定期的に行われるイベントにも参加されるようなので(前回はレインボーブリッジと東京湾を眺めるロケーションでBBQパーティーを開催したそう)、機会があったら是非直接お話しを聞いてみてください。
 
私もまた新しいシェアハウスが誕生した際には、もう一度小原社長にお話を伺ってみたいと思います。次はどのようなシェアハウスが生まれるのか、今から楽しみでなりませんね。ご協力ありがとうございました!
 
Author/加川 真也
東京シェアハウス合同会社 マネージャー兼エディター。自慢できることはシェアハウスに訪問した数(300物件近くになるかと)。また、現在某シェアハウスに入居中。入居者の立場からも、シェアハウスの魅力を伝えていければと思っています。 

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